米田透の俳句 特別作品集 2001年


創刊四百号記念合同句集「響焔III」に投句した句

シャトー

米田 透

略歴

@米田透 A昭和二十一年九月十八日 B東京都
C平成七年響焔入会・平成十三年同人
Dホームページ「米田透俳句集」
(http://members.aol.com/yonedatoru/)
(平成十ニ年開設)


真っ青な秋空を背にシャトー立つ
掃除夫が落ち葉を掃きてパリの朝
春のパリ傘がおちょこになりにけり
虚子の忌や我は人間探求派
五月祭キスしサインしシラク行く
野茨や息子の目指す画家の道
鳥の群低く飛ぶなり麦の秋
パリ祭の警官ランチ買って行く
自転車隊駆け抜けてゆきパリ真夏
森と池とシャトー舞台の夏期講座

十月一日朝礼の後クロワッサン
連翹の他は真冬に戻りけり
英国の初夏の青空護摩焚かれ
あめつちの恵み干草ロールでき
炎天にトラクター駆るパリジェンヌ
冬麗エレベータから犬が出て
フランス人椅子の向き変え雪景色
ボンソワと女の車掌春隣
北半球春来て妻の誕生日
パリ夏の婦人警官りりしくて

オーストリアの剣道二段西瓜割る
秋暑しハイテクノロジー料金所
モンテナポレオーネ通りそぞろ寒
万愚節真空パックの焼き魚
雷雨来るジャンヌダルクの前夜祭
万緑や不安なギアで客運び
たらこで御飯横浜の熱帯夜
フランスに戻りゴッホの麦の秋
ビール祭丸焼きチキン塩効いて
ドイツ人の仏舎落慶秋の虹

火炎集


響焔2001年4月号掲載

コーヒーの後葉巻出て秋の雲
(伊関葉子抄出)


響焔2001年5月号掲載

シャンゼリゼ歩き通して末の秋
(和知喜八抄出)


響焔2001年6月号掲載

時差ぼけの五体わが家の冬至風呂
(和知喜八、手塚酔月抄出)
納豆と北陸の鰤猫がいて(伊関葉子抄出)


響焔2001年8月号掲載

春の雪ライトアップの大聖堂
(長沼直子抄出)

響焔2001年10月号掲載

日本から客花冷えの街走る
(新川敏夫抄出)


白灯対談・白灯拾遺に取り上げられた句



響焔2001年1月号(No.391)
秋寒し五十四歳何をする


響焔2001年5月号(No.395)
酢キャベツと日本のカレー春月夜


響焔2001年8月号(No.398)
ゆっくりと家で休んで労働祭


響焔2001年9月号(No.399)
どう使う自分のいのち夏至近し

響焔2001年10月号(No.400)
ソローニュの夏の夕暮鴉飛び


新同人紹介

ビール祭         
              米田 透

朝の霧ドイツ語標識浮かび出る
ミュンヘンの元選手村青林檎
隣国の旨い酢キャベツ秋の雲
鳥の絵に霊あり秋の美術館
ビール祭丸焼きチキン塩効いて

音楽とじゃがいも料理バイエルン
ドイツ人の仏舎落慶秋の虹


抱負

この度は響焔同人にご推薦頂きありがとうございます。
単身赴任先のフランスの事情を家族に報告するための
日記俳句が私の俳句の原点です。ただ見ただけの句
ではなく、詩になっていることが大切と、先生・先輩方
からご指導頂く毎日ですが、詩とは何かがわかっておら
ず、試行錯誤の毎日です。妻や田中幹雄氏と席題を
出し合って句を作ることもやり始めましたが、席題の
場合は記憶の中にある情景を思い出すなどかなり
自由な発想で作句ができることに気付きました。帰任
後は句会に出て座の文学を学びたいと思います。なお、
上記七句はドイツ詠でまとめてみました。

略歴

昭和二十一年九月十八日生 東京都出身
平成七年九月響焔入会 活動は主としてフランスからの投句
ホームページはhttp://members.aol.com/yonedatoru/haiku/


新同人特集−夏の詩−

さつき満開         
              米田 透

さつき満開子と医者のダイアローグ
日本より暑いフランス旅券出す
日焼けした顔とその訳月曜日
スパゲティ冷やしうどんとして食べる
郷に入っては郷に従い花粉症
夏の雲身辺整理ぼちぼちと
芍薬や学び始める中国語
フランスの穀倉地帯虹立ちて

第28回響焔賞受賞作品 佳作

帰任 (フランス)米田 透

向日葵の畑在仏八年目
手作りのジャムつかの間の夏休み
日焼けして上には上のいるを知る
晩夏光心のスイッチ帰任へと
雲の峰譲る車を丸洗い
秋立つや残したいもの捨てるもの
記念品のソムリエナイフ夜の秋
ユーロ建新小切手帳秋の空
初秋のパリゆっくりと時流れ
もの捨てて定まるこころ鰯雲
買いすぎぬように買い物葡萄買う
整理する会社の書類終戦日
帰任後の予定が入り鱗雲
譲る物おおかた決まり秋日影
王侯の愛した大地秋の虹


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