米田透 俳句集(2017年)

響焔2017年1月号(No.583)

青焔集

赤子の笑顔    (横浜)米田 透

よく使う場所のリフォーム秋深し
十月に年末以上の大掃除
九キロの赤子の笑顔秋高し
アメリカ人骨だけ残し秋刀魚食う
帰国子に地魚の寿司秋の空


響焔2017年2月号(No.584)

青焔集

冬の霧    (横浜)米田 透

アメリカへ帰還の家族暮の秋
流感の予防接種を受ける歳
暗き朝雨かとまごう冬の霧
海辺から逃げよと連呼冬の朝
初雪や予期せぬことがよく起きる


響焔2017年3月号(No.585)

青焔集

大根鮨    (横浜)米田 透

大根鮨がぶりと噛めば加賀の味
手作りの名刺カラフル十二月
また一人逝く師走の通夜は音楽葬
冠雪富士電線などの邪魔多し
六度目の聖地巡礼年の暮


響焔2017年4月号(No.586)

青焔集

ふぐ料理    (横浜)米田 透

宝前の獅子舞澄んだ笛の音
よく走る大学生ら二日かな
腸内細菌育てています冬茜
(鈴カノン抄出)
酉年の大寒ふいにコケコッコー
ふぐ料理のフルコースなり新年会


響焔2017年5月号(No.587)

青焔集

雛人形    (横浜)米田 透

アメリカへ天地無用の雛人形
帯状疱疹一応完治蕗の董
春一番約束なので囲碁の会
春の花束赤を基調にとだけ言う
人類の直立歩行梅ひらく
(森村文子、長沼直子抄出)


響焔2017年6月号(No.588)

青焔集

冴返る    (横浜)米田 透

春の宵麻婆豆腐にこくが無い
e-Taxで出す平成二十八年分
カレー肉じゃがなるものができ浅き春
「騎士団長殺し」上下が届き春の雲
予定無し外出も無し冴返る


響焔2017年7月号(No.589)

青焔集

残花    (横浜)米田 透

ザワークラウト試作を開始散る桜
重力か風か微妙に桜散る
米軍跡地整備の兆し残花かな
春の空メトロ出口の地図ながめ
隣家との境に一本花蘇枋


響焔2017年8月号(No.590)

青焔集

ドイツビール    (横浜)米田 透

遠雷や蛇口のパッキン交換す
赤煉瓦倉庫ドイツビールで春祭
ウォーキング済ませて後の冷奴
英語聴きつつ日課の歩行夏の空
躑躅の下に躑躅の花弁朝の道


響焔2017年9月号(No.591)

青焔集

山躑躅    (横浜)米田 透

同期生と囲碁と温泉山躑躅
灯籠流し太平洋の真ん中で
(鈴カノン抄出)
蛍光灯LEDに夏初め
卒業後半世紀経ち濃紫陽花
東ティモール産珈琲を買い濃紫陽花
(森村文子抄出)


響焔2017年10月号(No.592)

青焔集

兜虫    (横浜)米田 透

マウイ行き旅行の予約梅雨の雲
午前午後用事をこなし冷奴
十一面観音様の日梅雨の空
しばらくは海の日のこと気がつかず
兜虫仰向けならば手を貸して
(森村文子抄出)


響焔2017年11月号(No.593)

青焔集

蝉時雨    (横浜)米田 透

英国の時代劇観て夏の夜
さりげない一品小鉢のモロヘイヤ
秋暑しチキンカレーに紅生姜
(河村芳子抄出)
終戦忌地下鉄出れば土砂降りに
十回目の聖地巡礼蝉時雨
(中村克子抄出)


響焔2017年12月号(No.594)

青焔集

金木犀    (横浜)米田 透

痛い葉のある枝を切り天高し
人心地ついたる寝覚め涼新た
震災忌家で静かに過ごしけり
留守番の静寂が好き秋の色
金木犀七十一の誕生日



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