米田透 俳句集(2015年)
響焔2015年1月号(No.559)
青焔集
オクトーバーフェスト (横浜)米田 透
秋深し場末のインド料理店 (中村克子抄出)
台風が来る直前に出勤す
オクトーバーフェスト港と若者と
黄葉や遠回りして帰ろうか
自販機に声かけられて秋夜明け
響焔2015年2月号(No.560)
青焔集
冬日和 (横浜)米田 透
忘れ物したこと忘れ秋の暮
冬隣食前酒として赤ワイン
ウイスキーグラス一つ買い冬の星
司法書士事務所訪問冬日和
(加藤千恵子抄出)
風邪三日目すべて忘れて爆睡す
響焔2015年3月号(No.561)
青焔集
いちご大福 (横浜)米田 透
銀杏落葉母校構内森閑と
熱燗で八年ものの紹興酒
デザートにいちご大福十二月
西方に富士すっぽりと雪化粧
百人の集合写真師走雨
(加藤千恵子抄出)
響焔2015年4月号(No.562)
青焔集
子との交信 (横浜)米田 透
病癒え年賀葉書を買いに行く
在米の子との交信お元日
コンサートとイタリア料理四日かな
(小林一子抄出)
成人式夢のごとくに半世紀
運動を増やす計画冬深し
響焔2015年5月号(No.563)
青焔集
建国の日 (横浜)米田 透
同期会の話題は闘病冬深し
もつ煮込み何回も噛み寒明ける
オキナワとフクシマのこと建国の日
(川嶋骼j抄出)
洋酒入りバレンタインデーのチョコレート
店一番の春の花束買い帰る
響焔2015年6月号(No.564)
青焔集
初桜 (横浜)米田 透
一円で古本を買い春の雲
(和田浩一、
小林一子抄出)
三人で三人歓送朧かな
二時間の瞑想修行梅の花
雑炊に卵をひとつ出勤す
採血のしやすい血管初桜
響焔2015年7月号(No.565)
青焔集
春落葉 (横浜)米田 透
一日の終りは皆と花見酒
春の宵抜け出すように退勤す
(和田浩一抄出)
目を見張る眼科の進歩春の空
眼鏡にも無料点検春の雨
散歩道どこからとなく春落葉
響焔2015年8月号(No.566)
青焔集
夏初め (横浜)米田 透
駅前の歩道橋消え春の昼
妻一人軽井沢へと夏近し
憲法記念日花びらはゴミかしら
血と尿を採ってもらって柿若葉
富士山に向かって歩く夏初め
響焔2015年9月号(No.567)
青焔集
英語のカード (横浜)米田 透
庭仕事せよと圧力梅雨間近
(山崎聰抄出)
男ばかりゴミ出しに来て夏の雲
(小林一子抄出)
最寄りの神社森閑として梅雨近し
父の日の英語のカード日本語も
枝豆がおいしくなったという会話
響焔2015年10月号(No.568)
青焔集
油蝉 (横浜)米田 透
加賀産のひらめ昆布締め濃紫陽花
採血が終わって帰宅かき氷
血糖値少し改善大暑かな
暑気払い古い記憶はいつまでも
旅行の妻を駅まで送り油蝉
響焔2015年11月号(No.569)
青焔集
新涼 (横浜)米田 透
秋初め身体あちこち痛みいて
終戦の日ひとであふれる美術館
四天王入魂法要秋澄めり
八月の家族記念日うなぎ食う
新涼やただそれだけでうれしくて
(伊達甲女抄出)
響焔2015年12月号(No.570)
青焔集
新涼 (横浜)米田 透
初秋刀魚背骨一本残し食う
ゆるやかに沖縄料理秋の雨
敬老の日近づいてくる七十歳
秋彼岸先祖も参加手巻き寿司
秋分の日手間暇かけたおはぎ出来