米田透 俳句集(2010年)

響焔2010年1月号(No.499)

白焔集

台風一過    (横浜)米田 透

聖宝尊師千百年忌秋深む
英国やカナダのドラマ虫の声
極上のごりの佃煮夜長かな
死ぬまでの目標いかに秋の雨
台風一過大空は如来世尊


響焔2010年2月号(No.500)

白焔集

冬一番    (横浜)米田 透

散歩する犬と人間朴落葉
青春はついこの間冬一番
(松田起子抄出)
異次元の世界にジャンプ冬の山
電飾を競い合う家十一月
落葉掻する人そばを通る人


響焔2010年3月号(No.501)

白焔集

冬銀河    (横浜)米田 透

十二月八日諜報ドラマ英国版
団欒のあとは眠りへ冬銀河
何をなすべき来年のカレンダー
冬の三日月国旗のごとく横に星
明らかに夢らしき夢冬至かな


響焔2010年4月号(No.502)

白焔集

枯野    (横浜)米田 透

世の中は箱根駅伝二日かな
ウィーンからワルツとバレエ三日かな
日が暮れて足許見えぬ枯野かな
放水に音楽もあり出初式
球形の枯野を歩き御来光


響焔2010年5月号(No.503)

白焔集

牡丹雪    (横浜)米田 透

人と車と別の平面春近し
三業の浄化に励み牡丹雪
次々と大きなニュース春立ちぬ
手袋に重ねて軍手夜明け前
(手塚酔月抄出)
早朝の広野を歩き薄氷


響焔2010年6月号(No.504)

白焔集

小さな袋    (横浜)米田 透

春めくや映画「空海」皆若く
近頃は小さな袋ひなあられ
積もること恐らくは無し春の雪
粗大ゴミ車庫に並べて春の雨
エスプレッソたらたらと出て春の宵


響焔2010年7月号(No.505)

白焔集

燕来る    (横浜)米田 透

公園の桜二分咲きめでたい日
一夜明け新たな世界万愚節
アメリカの土産は原書燕来る
江の島の岩場に下りて春の風
親は親子供は子供帰る雁


響焔2010年8月号(No.506)

白焔集

夏の野    (横浜)米田 透

もどかしい時差十時間子供の日
パソコンの移行完了初夏の月
(手塚酔月抄出)
風薫る横須賀線に駅が増え
夏の野に犬放されて夕日かな
麦藁菊続けて寺に詣でけり


響焔2010年9月号(No.507)

白焔集

新緑    (横浜)米田 透

新緑や渓流を観て滝を観て
万緑や百人乗りのロープウェイ
新緑や温泉宿の木の廊下
(手塚酔月抄出)
ブナ林にひっそりと沼河鹿鳴く
石灰を切り出す地層夏の雲


響焔2010年10月号(No.508)

白焔集

夏    (横浜)米田 透

梅雨晴れ間二千歩ばかり川に沿い
バードウォッチングの話夏の夜
生ビールまだこれからの六十三
日雷電源コード抜いて待ち
赤ちゃんを抱かせてもらい納涼祭
(和田璋子抄出)


響焔2010年11月号(No.509)

白焔集

八月六日    (横浜)米田 透

八月六日夜の祈りの法要へ
夏休みバナナを入れたヨーグルト
塩海胆や北陸の盆終わりけり
暑さ和らぎゆっくりと本を読む
夏ばてに妻の工夫の生姜焼き


響焔2010年12月号(No.510)

白焔集

台風一過    (横浜)米田 透

本年は厳しい暑さ震災忌
台風の力で猛暑治まりぬ
それだけで何やらうれし茸飯
秋分の日気温見事に下がりけり
台風一過横浜に出てよく歩き
(和田璋子抄出)



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