米田透 俳句集(2007年)

響焔2007年1月号(No.463)

白焔集

秋深む    (横浜)米田 透

早朝の聖なる空間秋深む
ラジオから閣僚人事秋の雨
サングラス富士の麓の野外護摩
一万歩大きく超えて二十日月
山形の秋の感触妻帰る (相田勝子抄出)


響焔2007年2月号(No.464)

白焔集

晩秋    (横浜)米田 透

ヴァイオリンの超絶技巧秋深し
二人分コーヒーを淹れ菊の秋
晩秋の常磐平野友が逝き
こがらし一号夕暮れの氷川丸 (手塚酔月抄出)

聖樹点滅十一月の銀座かな

白灯集

(横浜)米田 透

新米と鰻蒲焼眠る猫
冬晴れの関東平野子の個展
フランスのこと今のことふぐの鍋
十一月獅子舞とドラ中国語
冬の陽に包まれ歩む並木道


響焔2007年3月号(No.465)

白焔集

残る紅葉    (横浜)米田 透

冬はじめ英国人の送別会
残る紅葉北へと向かうモノレール
のどぐろの味噌漬けを食い霜の夜
病院で足診てもらい冬の空
焼き魚食うインド人十二月

白灯集

(横浜)米田 透

休日に感謝勤労感謝の日
あめつちの恵み鋤焼食いにけり
吹き抜けに巨大な聖樹ワインの会
ひさびさにカレーを作り冬の宵


響焔2007年4月号(No.466)

白焔集

不動明王    (横浜)米田 透

インド人の歓送迎会黄水仙
運慶作不動明王十二月
チキン入りカレーを作り五日かな
小松菜がメインディッシュとなった夜 (横田純子抄出)

ありえない話の映画寒月夜


響焔2007年5月号(No.467)

白焔集

桜餅    (横浜)米田 透

冬の朝近くを通る消防車
日曜日いただき物の牡蠣を食う
春一番チョコレート二個もらいけり
花束と桜餅妻の誕生日
立春を過ぎての後の寒気団

白灯集

(横浜)米田 透

冬の陽の当たるところを歩き(お)けり
少しずつ書斎の整理梅の花
ものごとは良い方向へ蕗の薹
土曜日の映画三昧猫柳


響焔2007年6月号(No.468)

白焔集

ビーンズシチュー    (横浜)米田 透

夕食にビーンズシチュー二月尽
(寺)杣の門積もることなく春の雪
平穏な日々に恵まれ蜆汁
ユニークな結婚の宴桜咲く
横浜港の春の日没遊覧す


響焔2007年7月号(No.469)

白焔集

若緑    (横浜)米田 透

鶏肉と野菜のスープ春の風邪
色々な形の墓標若緑 (高野力一抄出)

赤いつつじベイブリッジの見える丘
氷菓食い軽い後悔残りけり
アメリカから家族が一人シクラメン


響焔2007年8月号(No.470)

白焔集

青葉若葉   (横浜)米田 透

見舞いに行き囲碁して帰る夏始
(横田純子抄出)
青葉若葉血液入りの試験管
花束を持つ妻を撮り聖五月
青葉若葉電動鋸充電(完)す
蚕豆をつまみ家族の対話かな
(高野力一抄出)


響焔2007年9月号(No.471)

白焔集

さくらんぼ   (横浜)米田 透

出会いの夏北へと向かうモノレール
日曜の朝の清掃夏燕
取り分は三分の一さくらんぼ
(高野力一抄出)
通帳に年金少し濃紫陽花
血糖値下降の兆し夏至の雨


響焔2007年10月号(No.472)

白焔集

茄子の花    (横浜)米田 透

一人逝き枝豆食べる同期生
看護師と医師にほめられ茄子の花
なめらかな南瓜のスープ完食す
青簾設置を終えて大の字に
夕食は息子と合作日日草


響焔2007年11月号(No.473)

白焔集

猫の爪    (横浜)米田 透

青チーズ入りハンバーグ夏休み
親切な役所窓口ひまわり草
日陰に来て日傘を畳む人の群れ
初秋刀魚膝に時々猫の爪
晴れの日が曇りに見えるサングラス


響焔2007年12月号(No.474)

白焔集

九月末    (横浜)米田 透

蚊に食われ猫の形に穴を掘る
タイ国の聖者の笑顔秋彼岸
人間ドック結果良好秋薊
(新川敏夫抄出)
管理部門活気に満ちて九月末
(栃木喜美子抄出)
ハッピーエンドそれもまた良し秋なすび



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