米田透 俳句集(2006年)

響焔2006年1月号(No.451)

白焔集

夜長    (横浜)米田 透

進化する人間ドック仲の秋
生き物のように台風通り行き
もう一枚毛布をかけて秋の夢 (金子一与抄出)
虫時雨韓国ドラマの韓国語
パソコンと光ファイバー夜長かな

白灯集

(横浜)米田 透

寒い日の鶏と野菜のスープかな
体育の日ラーメン作り忙しく
実石榴や自由も少し妻の留守
秋晴や屋上に出て散歩して
 


響焔2006年2月号(No.452)

白焔集

冬支度    (横浜)米田 透

冬支度猫の居場所も整備して
生椎茸想定超えて収縮す
戸外活動食事睡眠猫の秋
立冬のなまあたたかき帰り道 (山崎主宰抄出)
北陸の蟹をさばいて妻の指

白灯集

(横浜)米田 透

焼き鯖をせがむ猫いて暮の秋
十一月あってはならぬこと起きて
木枯らし一号さっと来て帰りけり
古本屋の常連となり冬木道
二日行けば祭日が来る花八手


響焔2006年3月号(No.453)

白焔集

日本の中の外国    (横浜)米田 透

マルセイユの石鹸のこと冬の朝 (相田勝子抄出)
コーヒーが挽けるまで待ち十二月
十二月日本の中の外国へ
託児所の壁に電飾十二月
列島冷え早朝奉仕五六人

白灯集

(横浜)米田 透

テレビから経済情報冬の朝
お寺でも防災訓練十一月
五つ六つ気力みなぎるりんごかな
自転車が発電する音寒い夜br>


響焔2006年4月号(No.454)

白焔集

アメリカの土産    (横浜)米田 透

天皇誕生日なりゆきの目玉焼き
黒猫と白かびチーズ聖誕祭
回転寿司に職人ひとり年の暮
アメリカの土産色々雑煮食う
テレビ画面にセーヌの河畔雪催

白灯集

(横浜)米田 透

アメリカへ発つ妻送り冬林檎
スパークリングワインとポトフ聖夜かな
冬うらら息子が作るオムライス
初詣帰りに覗くコンビニ店br>


響焔2006年5月号(No.455)

白焔集

春景色    (横浜)米田 透

春隣臍の辺りに不動心
和気藹々戌年の人豆を撒く
春立つ日読書の後の眠りかな
皇室のニュースが走り春景色
子の作る肉じゃが褒めて風邪の妻

白灯集

(横浜)米田 透

ロワールの堤の記憶寒の月
寒明けて笑顔の医師と看護師と
忘れられることなくバレンタインの日
チューリップ赤白妻の誕生日br>


響焔2006年6月号(No.456)

白焔集

靴の紐    (横浜)米田 透

麻婆豆腐専門の店雪割草
春の雨見慣れぬ色の信号燈
飼い猫に分け前少し春の鰤
靴の紐なぜほどけるか春の雨
(石井和子抄出)
紅梅満開海岸へ下る道
(山崎主宰抄出)

白灯集

(横浜)米田 透

手作りのケーキが二本黄水仙
中国と野球の試合雛祭
人間も自然の一部春一番
試食してホワイトデーの贈り物


響焔2006年7月号(No.457)

白焔集

いたち草    (横浜)米田 透

投票後猫の餌買い柳の芽
階段を上り下りして沈丁花
(山崎主宰抄出)
黒づくめの若者の群れ四月来る
大福はナースストップいたち草
妻戻る北陸の春身に帯びて

白灯集

(横浜)米田 透

血液を少し採られて白木蓮
気がつけばやがて還暦花吹雪
春の雨歩いてラジオ聴いており
何回も出口なき夢春の風邪


響焔2006年8月号(No.458)

白焔集

五月晴れ    (横浜)米田 透

春深し女子大過ぎて寺の門
十連休あとの出勤虞美人草
五月晴れ家族で祝う珊瑚婚
橡の花英語読む内眠りけり
夏祭小振りまぐろの解体ショー
(松田起子抄出)

白灯集

(横浜)米田 透

円高とか株下落とか藤の花
ゴールデンウィーク静寂な御宝前
辛口カレー五月連休最終日
血液を採られることに夏始
付録から読む癖梅雨の走りかな


響焔2006年9月号(No.459)

白焔集

カプチーノ    (横浜)米田 透

はたたがみ幼い頃に戻りけり
チキンライス初めて作り梅雨の星
濃紫陽花食事の後のカプチーノ
料理後に包丁を砥ぎアマリリス
食欲は落ちることなく夏の風邪

白灯集

(横浜)米田 透

夏服が自転車に乗り出勤す
夏の雨鶴見まで行き一万歩
豪快にビーフステーキ罌粟坊主
コンビニに郵便ポスト姫女苑


響焔2006年10月号(No.460)

白焔集

国際電話    (横浜)米田 透

出張で表参道夏の雲
カメラ付国際電話夏の雲
氷菓食いもとの木阿弥繰り返す
冷奴枝豆西瓜扇風機
フランスの猛暑の便りパリー祭


響焔2006年11月号(No.461)

白焔集

大涅槃像    (横浜)米田 透

夕焼の中へ自転車押して行く
新鮮な夏の天ぷら妻の指
百日紅退職の日の近づきぬ
さっぱりと白焼鰻九連休
金色の大涅槃像秋めきて


響焔2006年12月号(No.462)

白焔集

定年退職    (横浜)米田 透

備えありとは言えません防災日
ささやかな休暇をもらい秋の空
祝われて定年退職夜半の月
(相田勝子抄出)
誕生日和風料理と虫の声
虫時雨夕食提げて妻帰る



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